2022年12月、久しぶりに楽天SPUの改悪の発表があり、SNSを賑わせました。それだけ多くの方が、楽天経済圏を利用しているということでしょう。
「楽天経済圏はもうダメ」という意見も散見されますが、他の経済圏に乗り換えるべきのなのか。この記事では、楽天経済圏の改悪の歴史を振り返ってみます。
サービス | 乗り換えるべき? |
ネット通販 | 最大還元率を狙う⇒楽天継続 手軽さを優先⇒PayPay経済圏 |
投資・金融 | 新規に始めるなら SBI証券 auカブコム証券 |
私自身としては楽天経済圏にはまだまだ利用価値があるという結論です。代替のサービスと比較して、楽天経済圏を続けるか否かの判断材料にして頂ければ幸いです。
楽天経済圏の改悪の歴史
楽天経済圏では、2019年頃からポイント付与の改悪が目立つようになりました。楽天モバイル事業が振るわず、その補填のためという見方が強いです。
2019年 |
【SPU】楽天ブックス、楽天koboの条件変更 【SPU】楽天アプリの付与率低下 【SPU】楽天トラベルに利用条件追加 |
2020年 |
【SPU】楽天モバイルの付与率低下 |
2021年 |
【SPU】楽天保険の事実上廃止 【SPU】ゴールドカードの廃止 【SPU】楽天TV廃止 【SPU】楽天でんき廃止 【SPU】楽天ビューティーの付与率低下 【キャンペーン】買い回りの上限低下 【楽天Pay】チャージのポイント付与低下 【楽天カード】公金支払いの還元率低下 【ラクマ】手数料上昇 |
2022年 |
【SPU】楽天証券の条件変更 【SPU】楽天保険の廃止 【SPU】楽天ブックス・koboの上限変更 【キャンペーン】税込から税抜き価格が対象へ 【楽天銀行】優遇金利の低下 【楽天証券】投資信託ポイントの低下 【楽天証券】クレカ積立の還元率低下 【楽天モバイル】利用料が有料へ 【その他】誕生日ポイント廃止 【その他】楽天プレミアム廃止 |
一覧にすると、楽天のポイント制度がどれだけ変更されてきたか分かります。
楽天経済圏は、楽天サービスを網羅することで楽天市場での還元率が上昇。キャンペーンも組み合わせれば、還元率20-30%も期待できるため人気を博していました。

もともとがお得過ぎたために、改悪時には目立ちやすいという側面もあります。とくに2022年の変更では影響を受ける方が多く、
楽天証券はだめだ!今後はSBI証券だね。
楽天経済圏はオワコン、もうやめた!
などのつぶやきも散見されました。
消費税分のポイントが消失

楽天市場で購入した場合、今までは税込み価格に対してポイントが付与されていました。2022年4月より税抜き価格がポイント付与の基準価格になります。
現在の消費税率は10%、受け取るポイントは約9%の減損です。しかもSPUや楽天スーパーセールなど各種キャンペーンも対象となります。
ふるさと納税は影響を受けない
通販サイトでは、AmazonやYahoo!ショッピングが有名です。Amazonはポイント制度がポイント付与がない分、もともとの価格設定も低い印象です。
Yahoo!ショッピングはPayPay経済圏として攻勢をかけています。ただ品揃えや金額の面では楽天市場が勝る部分が大きいでしょう。
幸いなことに、ふるさと納税はこの影響を受けません。ふるさと納税は消費税の課税対象外。今まで通りのポイント還元率で利用できます。
ふるさと納税でのポイ活は高額納税者ほど恩恵を受けやすい制度ですので、ぜひ有効活用しましょう。
相次ぐSPUの条件変更
楽天SPUはスーパーポイントアップの略で、楽天のポイント制度の根幹です。様々なSPUの条件を満たすことで、楽天市場でのポイント還元率が上昇します。
楽天ではこのSPUの設定に、これまで幾度となく変更を加えてきました。ほとんどが内容的に改悪ですが、たまに改善される場合もあります。
ここでは特に影響の大きかったSPUの改悪を紹介します。
楽天ゴールドカードの条件悪化
2021年まで、楽天カードでもっともコスパが良いカードは、楽天ゴールドカードでした。年会費2,200円で持て、SPUが+4%とプレミアムカードと同等の条件。年会費の元をとるのも簡単でした。
2021年の変更後、SPU+4%は年会費1万1,000円のプレミアムカードのみの特典です。お得に使うには、年間55万円を楽天市場で購入する必要があります。
楽天保険の廃止
2021年までは、楽天保険の商品を楽天カードで購入するとSPU+1%の条件がありました。200円程度の商品もあったため、人気のSPUの一つでした。
2021年には200円の商品が対象外となり事実上の廃止。2022年には、SPUの条件そのものから消去されています。
楽天証券のSPUの条件が複雑化
投資信託の購入は積立設定が可能なため、自動化できる人気のSPUです。
変更前の条件は、楽天ポイントを1ポイント以上利用し、月に500円以上の投資信託を購入すると+1%でした。変更後も最大1%ですが、条件が厳しくなります。
マネーブリッジ設定に加えて以下の金融商品の購入が必要です。
- 楽天ポイント1ポイント以上利用と月3万円以上の投資信託(+0.5%)
- 楽天ポイント1ポイント以上利用と月3万円以上の米国株式(+0.5%)
変更前の条件と比較すると120倍もの投資資金が必要。また米国株式では積立設定ができないため、月1回は手作業で購入しなければなりません。
さらに手数料無料の対象となっている人気の米国ETF(VT、VOO、VTIなど)は対象外。手間・手数料にSPU+0.5%が見合うかどうかが見極めるポイントとなります。
投資信託はつみたてNISAと相性がいい
つみたてNISAを満額で設定すると月3万3,333円。楽天証券で積み立てれば、それだけで条件クリアです。一部をポイントから支払うように設定しましょう。
一方で米国株式については、普段から米国株式を積み立てて購入している方でなければ、「あきらめる」ということも選択肢になります。
楽天モバイルが有料化
楽天モバイルは1GB以下の使用ならスマホ料金が無料でしたが、ついに最低でも1,078円(税込)の通信料が発生するようになりました。
現在利用できる料金プランは「Rakuten UN-LIMIT Ⅶ」の1種類。メイン回線としても安く使えます。
楽天モバイルの料金
- 1GB以下無料
- 3GB以下980円(税込1,078円)
- 20GB以下1,980円(税込2,178円)
- 20GB以上は使い放題2,980円(税込3,278円)
肝心な通信速度ですが、楽天回線のエリアではほぼ問題なく使えます。
実際に私も使っていますが、動画もストレスなく見れます。
楽天モバイル無料が廃止となった代わりに、楽天モバイル関連のSPUが引き上げられました。今まで1%でしたが、2022年11月より最大+3%です。ただし条件もあります。
プランと楽天会員 | 還元率UP | 付与上限 |
Rakuten UN-LIMIT Ⅶ + ダイヤモンド会員 | +3% | 7,000pt |
Rakuten UN-LIMIT Ⅶ + ダイヤモンド会員以外 | +2% | 6,000pt |
楽天モバイル旧プラン | +1% | 5,000pt |
1,078円÷3%=35,933円。ダイヤモンド会員かつ、楽天市場で月3万6,000円以上を使っているなら、楽天モバイルを契約した方がお得です。
PayPay経済圏に移行すべきか
ネットショッピングでは、楽天経済圏の乗り換え先としてPayPay経済圏が候補に挙がります。
PayPay経済圏(ヤフー経済圏)は、ソフトバンクグループが提供するサービス群。Yahoo!ショッピングを中心にお得なキャンペーンを展開しています。ちなみにPayPayモールはYahoo!ショッピングに統合されました。
PayPay経済圏の魅力は次の3点です。
- 買い回りなどの作業が必要ない
- キャンペーンを気にせずある程度の還元率
- 貯めたポイントの出口が優秀
楽天市場での最大還元率はときに30%を超えますが、キャンペーンの条件を満たすのが結構な手間です。
対してYahoo!ショッピングではPayPay祭りのような大きなイベントで最大還元率22.5%程度。ただ16%程度であれば、簡単に達成することもできます。
ある程度の還元率で十分という方は、PayPay経済圏への乗り換えは選択肢となるでしょう。
PayPay経済圏で還元率16%
PayPay経済圏では所定のサービスを利用することで、Yahoo!ショッピングでの還元率を高めることができます。
16%の内訳は以下の通りです。
対象キャンペーン | 還元率 | ポイント付与上限 |
毎日最大+3.5% | +3.5% | 5,000円/月 |
PayPay残高払い | +0.5% | なし |
ストアポイント | +1% | なし |
Enjoyパック | +5% | 1,000円/月 |
Yahoo!プレミアム会員 | +2% | 5,000円/月 |
5のつく日 | +4% | 1,000円/日 |
合計 | 16% | – |
Yahoo!プレミアム会員は月額508円ですが、ワイモバイルに加入していると無料。Enjoyパックは月額550円ですが、毎月500円分のクーポンが届くので、実質50円/月で利用することができます。
楽天経済圏では楽天モバイルが推奨されるのと同様、PayPay経済圏ではワイモバイルが必須です。
ただEnjoyパックの付与上限は1,000円相当/月。2万円以上購入すると、そこからの還元率は11%まで低下してしまいます。
PayPayポイントには有効期限がない
PayPay経済圏のメリットは、付与されるPayPayポイントが使いやすい点です。PayPayは広く普及し、様々なシーンで利用することができます。有効期限がなく、失効を気にする必要がありません。
楽天経済圏では主に期間限定楽天ポイントがたまりますが、1-2ヵ月で期限を迎えることも多いため、出口戦略に少々困ることがあります。
PayPay経済圏も改悪されている
楽天経済圏の改悪の裏で、PayPay経済圏でも改悪が続いています。例えばPayPaySTEPは、1.5%の還元率を維持する条件が厳しくなりました。
また2023年2月より5のつく日のキャンペーンも改悪。ポイント付与上限が5,000円⇒1,000円/日に減額されました。
楽天ほど話題にならないのは、経済圏の利用者がまだまだそれほど多くないこともあるかもしれません。私自身はまだ乗り換えせずに、楽天経済圏から様子を伺うスタンスです。
楽天証券の投資信託保有ポイントの減額
楽天証券では、投資信託の保有額に応じて付与されるボーナスポイントがありました。2022年4月からの変更により、このポイントが減っています。
投資信託保有ポイントを受けるための条件
投資信託の保有額に応じたポイントを受け取るためには、次のサービスとキャンペーンへのエントリーが必要です。
- 楽天証券総合取引口座
- 楽天銀行普通預金口座
- マネーブリッジ
- ハッピープログラム
マネーブリッジは楽天証券と楽天銀行の口座連携サービス。無料で利用でき、資金を自動で移動してくれるほか、楽天銀行の預金金利が0.1%に上昇するなど特典を受けられます。
マネーブリッジ手続き後に、ハッピープログラムにエントリーができます。
ハッピープログラムでは、証券口座での様々な取引に応じて楽天ポイントが進呈されます。また取引回数に応じて、銀行の振り込み手数料が無料になるお得な制度です。
投資信託の保有額に対してのポイント付与はハッピープログラムの特典の一つ。iDeCoは対象外ですが、つみたてNISAは対象です。
変更前のポイント付与率
楽天証券では、2021年8月に投資信託の保有額に対するポイント付与の方法が変更となりました。それまでは、投資信託残高の月間平均10万円に応じて月4ポイントが付与されました。2021年8月以降は、月3-10ポイントが付与される仕組みとなっています。
付与されるポイントは各投資信託の手数料率※によって5段階に分けられます。信託報酬(投資信託の運用コスト)が低い銘柄は月3ポイントとなっています。
※各銘柄の楽天証券が受け取る代行報酬手数料率
手数料率(年率) | 付与されるポイント | 銘柄数※ |
1%以上 | 10 | 43 |
0.5-1.0% | 5 | 1858 |
0.05-0.5% | 4 | 700 |
0.036-0.05% | 3 | 7 |
0.036%未満 | 0 | 3 |
付与されるポイントが月3ptの銘柄
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
- eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- <購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)
- <購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド
月に3ptとして、年間36pt。年利0.036%になります。一方で人気の高いeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬は年利0.0968%です。
一見すると、10万円で3ptはかなり少額です。しかし投資信託にかかる運用コストのおよそ1/3が還元されると考えれば、この数字は決して小さいものではありません。
付与された楽天ポイントは楽天PointClubで確認
投資信託の保有額によるポイントは、どこで確認すればよいでしょうか。楽天PointClubで自身のポイント獲得履歴から参照できますが、とても分かりづらいです。
私も最初はポイントが付与されてないと思い、楽天証券に問い合わせてしまいました。
投資信託の保有額によるポイントは対象月の翌々月の2日に付与されます。付与されるポイントは楽天銀行のキャンペーンであるハッピープログラムの特典です。ポイント履歴には、楽天銀行からのポイントとして表記されています。

この欄にはハッピープログラム全体で獲得した合計が表記されるので、国内株式の購入など他の取引があればその分も含まれています。
2022年4月からの変更内容
変更後は「月末時点での保有額が一定額をはじめて超えたときのみポイント付与」ということになりました。新しい付与条件の詳細は次の通りです。
月末時点の残高(初回) | 付与ポイント |
10万円 | 10pt |
30万円 | 30pt |
50万円 | 50pt |
100万円 | 100pt |
200万円 | 100pt |
300万円 | 100pt |
400万円 | 100pt |
500万円 | 100pt |
1,000万円 | 500pt |
1,500万円 | 500pt |
2,000万円 | 500pt |
もちろんないよりはいいですが、毎月継続的に付与された3-10ポイントを考慮すると、大きな改悪です。「初めて超えたときのみ」のため、すでに2,000万円以上の残高保有者には今後のポイントの進呈はない、ということになります。
2,000万円の投資信託保有者は、最低の還元率0.036%としても年間で7,200pt付与されていました。寝ていても獲得できたポイントが、変更後はなくなってしまいます。
逆に言うとまだ資産がそれほど多くなければ、ダメージもありません。
他の証券会社に乗り換える?
今回の変更は、投資信託の保有額にもよりますが、移管するほどの手間には見合いません。一方で新しく投資信託を購入するなら、SBI証券・マネックス証券・auカブコム証券が同様のサービスを提供しており、選択の余地があります。
楽天証券はSPUの条件にも組み込まれているので、楽天市場の利用頻度も勘案して、トータルでお得かどうか判断しましょう。
楽天証券を継続すべきか。判断のためにの3つのネット証券口座と比較してみます。
- SBI証券
- マネックス証券
- auカブコム証券
SBI証券が移管手数料全額キャッシュバックを開始
楽天証券の条件改悪は他の証券会社にとっては大きなチャンスです。
まるで示し合わせたかのように、12月28日にSBI証券より新しいキャンペーンの告知がありました。
”投信移管手数料を全額キャッシュバックする「投信お引越しプログラム」が始まります!”というタイトルで私のところにもメールが届いています。

今回の件でSBI証券に乗り換える顧客を見込んでの戦略ですね。
証券会社を変更する場合、投資信託の移管が必要となります。移管は保有している投資信託を別の証券会社にそのまま移す手続きです。
ただし、デメリットとして移管する際に手数料が発生します。楽天証券の移管手数料は1銘柄あたり3,300円(税込み)です。
今回のSBI証券のキャンペーンは、この移管にかかる手数料をSBIが全額負担してくれるというものです。
SBI証券では楽天のハッピープログラム特典と同様に、投資信託の保有額に応じて月1回ポイントが付与される「投信マイレージ」というサービスを実施しています。
SBI証券投信マイレージ
- 保有額1,000万円未満は年率0.1%
- 保有額1,000万円以上は年率0.2%
- 銘柄別に付与率の設定あり
- 毎月15日にポイント付与
- ポイントはTポイントかPonta
もともと信託報酬の低い投資信託では、個別の付与率が設定されています。楽天証券で年率0.036%だった銘柄のポイント付与率をみてみます。
銘柄 | 付与率(年率) |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) タイトル | 0.0462% |
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) | 0.0462% |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.0462% |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.0401% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0374% |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット) | 0.0462% |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド | 0.042% |
わずかな差にはなりますが、どれも楽天証券の0.036を上回っています。移管先の選択肢としてよさそうです。
マネックス証券のポイントプログラム
マネックス証券では移管手数料を振り替えてくれるキャンペーンはありません。
マネックス証券でも投資信託の保有額に応じて月1回ポイントが付与される「投信保有プログラム」というサービスを実施しています。

マネックス証券投信保有プログラム
- 銘柄によって、年率0.03または0.08%付与
- 毎月最終営業日翌日にポイント付与
- ポイントはマネックスポイント
マネックス証券でも信託報酬の低い銘柄では、付与率が0.03%となっています。楽天証券で年率0.036%だった7銘柄は、マネックス証券ではすべて0.03%です。
マネックスポイントはTポイント、dポイント、Pontaポイントなど他のポイントに交換して利用できます。移管による手数料が痛いですが、これから始める方にとっては選択肢となります。
auカブコム証券のポイントプログラム
auカブコム証券では2022年5月31日まで投資信託お乗り換えキャンペーンを実施中。入庫金額に応じてもらえるポイントが増える仕組みで、10万円ごとに500ポイント。最大100万円以上で5,000円分のPontaポイントが付与されます。
auカブコム証券では、保有する投資信託に対してポイント還元が受けられる「資産形成プラログラム」を実施しています。
auカブコム証券資産形成プログラム
- 保有額100万円未満は年率0.05%
- 保有額100-3,000万円は年率0.12%
- 保有額3,000万円以上は年率0.24%
- 指定銘柄は年率0.005%
- ポイントはPonta
auカブコム証券でも結局信託報酬の安い銘柄は保有額に関わらず年率0.005%になってしまします。
楽天銀行の優遇金利が低下

楽天銀行の普通預金金利は、楽天証券と楽天銀行の口座連携特典(マネーブリッジ)を利用すると、年利0.10%(税引後年 0.079%)の優遇金利となります。
2022年4月より上限が設定され、預金残高300万円以上を超えた分に対する金利が、年利0.04%(税引後年0.031%)に低下しました。
大手メガバンクの普通預金金利0.001%と比較すればそれでもお得ですが、楽天銀行に大量の資金を投入している方にとっては痛い変更です。
保有額によらず高金利のネットバンク
次の2つの銀行では金利が0.2%となります。
- あおぞら銀行BANK(無条件)
- auじぶん銀行(条件あり)
ある程度まとまった円を保有したければ、上記2行の開設は選択の余地があります。ただ最近の円安傾向をみると、円で資産を保有するリスクも視野に入れる必要があると痛感しました。
クレカ積立の還元率が低下
もともと楽天証券の投資信託を楽天カードで積立購入すると、購入額の1%が楽天ポイントで還元されました。これが2022年9月から一部銘柄を対象に0.2%に引下げられたのです。
対象銘柄は投信コストの安い銘柄です。
長期投資では信託報酬などのコストが成績に大きく影響します。人気の高い「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「楽天・全米国株式インデックスファンド」も今回の対象銘柄に含まれます。
折しもライバルであるマネックス証券やauカブコム証券が、クレカ積立投資のキャンペーンを開始した時期でもあり、楽天証券の改悪は目立つこととなりました。
楽天キャッシュの登場で還元率は上昇
ただ今回の変更は単純に改悪だけではありません。その理由は楽天キャッシュの登場です。
楽天キャッシュは楽天が新規に発行する電子マネー。楽天カードからチャージすることができ、その際0.5%のポイントが付きます。
楽天キャッシュでの投資信託購入も可能で、これで実質0.5%還元。サービス開始の8月から4ヵ月間はキャンペーンとして+0.5%が付与されるため、1%還元となります。
この間楽天カードによる積立も併用可能なので、2ヵ月間はもらえるポイントがむしろ多くなりました。
さらに楽天キャッシュは、楽天ギフトカードで購入できます。他の高還元率の決済手段で楽天キャッシュを購入すれば、それがそのままクレカの還元率に。2.5%以上も可能となりました。
他社のクレカ積立のポイント還元
短期売買をしてポイントだけを目当てにしている方にとっては、今回の変更はむしろ「改善」です。信託報酬が0.8%以上の投資信託銘柄になってくるとクレカ積立還元が1%になってくるので、変動の少ない銘柄を積立で購入→即売却で利益がでます。楽天キャッシュの分も含めればもらえるポイントは多くなります。
一方で長期投資を前提に積立投資を行っている方(大半はこちらになると思います)には「改悪」です。
次の証券会社ではクレカ積立で1%以上のポイント還元が得られます。
- SBI証券×三井住友カード(ゴールドカード以上)
- マネックス証券×マネックスカード
- auカブコム証券×auPAYカード
これから積み立てるという方は、上記証券会社を選択することも選択肢です。
SBI証券ではクレカ積立によるポイント付与のプログラムをすでに導入しており、三井住友カードのグレードに応じて0.5-2%のポイントが還元されます。
またマネックス証券でも2022年2月より、マネックス証券のクレカ積立も開始となりました。マネックスカードで積み立てると還元率1.1%と高水準です。
auカブコム証券でも3月よりサービスが始まっています。こちらは通常還元率1%、さらにauユーザーは+4%の最大5%と破格の対応となっています。
クレカ積立によるポイ活の詳細はこちらの記事もご参照ください。
楽天証券からSBI証券に乗り換えるべきか
改悪が続く楽天経済圏。楽天サービスの改悪の歴史は、当サイトでも取り上げています。早く乗り換えた方がいいのでしょうか。
月5万円しか積み立てることはできないというのであれば、新しく積み立てる証券会社としてSBI証券を検討すべきと考えます。また既に大きな額を投資している方も、年間コストが移管の手間に見合う可能性があります。
ただあくまでも投資信託は資産形成が目的であり、もらえるポイントはおまけです。とくにポイントをもらうために信託報酬の高い証券会社を選ぶのは本末転倒。
続々と登場している証券会社のキャンペーンですが、やがてそれぞれの顧客が集まれば改悪となる可能性だって十分に考えられます。その度に右往左往するのも、手数料はもちろん「自分自身の時間」という大きなコストを支払うことになるのです。
今回の楽天経済圏の改悪は非常に残念です。ただ楽天の個別のサービスはまだまだ優秀な側面もあります。資金余力があれば楽天証券はそのままに、新規投資先を追加すればいいと考えています。
私も楽天証券は解約せず、マネックス証券での積立投資を追加で始めました。
すでにSBI証券でも積立投資しているので合計月15万円です。auカブコム証券についてはまだ様子を見ていますが、始めるなら楽天証券からの移管ではなく、新規追加を検討しています。
まとめ
楽天経済圏の改悪について解説しました。
- 消費税分のポイント還元が消失
- 楽天証券の投信保有ポイントの付与条件改悪
- SPUの相次ぐ変更
- 楽天銀行の優遇金利低下
- クレカ積立の還元率低下
改悪の続く楽天経済圏ですが、上手に利用することでまだまだポイ活の恩恵があることも事実。今後も楽天経済圏の行方に目が離せません。
楽天経済圏の攻略法については、こちらでも解説しています。

≫楽天経済圏の攻略法を解説|楽天ポイントを徹底的に貯めよう!
以上皆さんのポイ活・投資に役立てて頂ければ幸いです。